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交渉は互いにニーズが異なるもの同士が、相違点を一つ一つ埋めて合意を重ねていく行為です。

しかし、その過程で、ある争点でどちらも譲歩できず、議論が止まる「膠着状態」となることがあります。

将棋の対局では、互いに自分が仕掛けることで不利に陥るため、攻め込むことができず、お互いぐるぐる同じ手を打ってしまう「千日手」というものがあるそうです。

交渉でもまさにそのようなことがあります。

今回は、交渉において、この千日手のような膠着状態をどのように打開すべきなのかを考えてみます。

交渉ではこちら側のニーズ、相手方のニーズがあります。
話が膠着したら、自分の側の事情と相手の側の事情を分けて考えてみる必要があります。

自分の側では、自分が何を求めているかはもちろん、決裂したらどのようなことになるかという事態も、もともと考えているはずです。

交渉が決裂し、ほかの選択肢に移った場合に、それでも良い状態を作り上げることができるならば、強気で攻めることができます。

ほかの選択肢が、あくまで「次善の策」にすぎないということであれば、どこまでなら譲歩してまとめるべきか具体的に考えなくてはなりません。

そして、大切なことは、相手の側の事情で同じことを考えてみるということ。

相手を取り巻く環境は完全にはわからないので、あくまで仮説となります。

この仮説を、希望的観測ではなく自分にとって都合の悪いことも徹底的に想定し、自分の立場と比較し、相手には譲歩する余地があるか、他の手段が取れるのだろうか、と考えていくことが必要となります。

膠着状態は、「どちらが譲歩するのか?」という二者択一思考に陥っている状態です。

双方が「自分はここでは絶対に妥協できない」と思っているから膠着してしまうのです。

そうだとすれば、自分も相手も妥協しなくてもよい創造的な案、あるいは、いずれかが妥協しても、もっと価値あるリターンがある創造的な案、を考え出すことが、まずは目指すべきこととなります。

それが無理な場合に、始めて妥協の決断に入っていくことになります。

さて、ここまで状況判断の仕方について説明しましたが、テクニック論についても少しお話しします。

膠着状態から、最後の一歩を相手に踏み出させる方法です。

まず、膠着したら、議題をほかの簡単な論点に移し、細かい合意を重ねるという方法があります。

そうすると相手に「ここまで時間も労力もお金も投下して、頑張って合意を積み重ねてきたのに、決裂しても良いのか」という気持ちを起こさせ、最後の決断をしてもらいやすくなります。

もう一つは、いったん席を立ち、決裂させてみる、という方法。

机の上の資料を片付け、帰る準備をしたり、いったん社に帰ってみて、のちに改めて連絡したりといった揺さぶりをかけると、相手の本心が現れることがあります。

むろん、この方法は、そのまま交渉が終わってしまう危険もありますので、ちょっとしたテクニックが必要です。
ただ、これらのテクニックは、状況判断があったうえでのものです。

テクニックだけでは交渉はうまくいきません。
また、交渉が膠着した際に自分のニーズを押し出すだけでは交渉はまとまりません。

自分と相手の現状分析を徹底して行い、その状況をもとに、自分がどう動くべきか具体的な戦略に落とし込んでいくことが大切だと思います。

「こういう『形』で出せるおれの答は・・
・・『NO』以外にはない」(ゴルゴ13)

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【編集後記】

出版不況の今日この頃です。
本を出して売れると、すぐに次の企画が持ち込まれます。

本は、一冊書き上げるのに結構な時間を要しますので、売れる本を書けそうだ、と思ったら、すぐに話をまとめなければ、他の出版社に決められて、またしばらく執筆依頼を出せないからでしょう。

今回も、売れ行きがいいな、と思ったら、早速他社から次の企画が持ちかけられました。
本業もあるので、慎重に考えたいと思います。

やはり、弁護士業務第一です。(*・`д・)ガンバルッス!!

今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!

では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。