損害項目と損害額算定基準


治療費

「必要かつ相当な額」です。実際に治療をしたからといって、全部が認められるわけではありません。必要かつ相当でない治療とは、「過剰診療」(医学的必要性ないし合理性が認められない診療行為)や「高額診療」(治療費が、社会一般の診療費水準に比べて著しく高額な場合)をいいます。

鍼灸、マッサージ、器具、薬代、温泉療養費等は、医師の指示書を書いてもらうようにしましょう。入院中の個室使用料は、植物状態や重篤のため等の特別の事情や医師の指示があった場合に認められる傾向がありますが、自分で勝手に使用した場合は認められません。

症状固定後の治療費は原則として請求できません。これ以上治療効果が上がらない状態が症状固定ですので、症状固定後の治療費は、損害と認められないからです。ただし、症状の悪化を防ぐなどの治療であるように、治療が必要かつ高度の蓋然性が認められる場合には、例外的に請求が認められることがあります。

入院

交通事故で入院が必要となった時の入院雑費は、実際にかかった費用ではなく、一律で計算されています。

裁判基準では、おおむね次のような基準で計算されています。

1日 1,500円

付添看護費

交通事故による外傷で入院が必要となった時の付添看護費です。入院の際の職業付添人は、実費全額。但し、医師による看護が必要である旨の指示書をもらいましょう。

入院の近親者付添人 1日 6,500円
通院付添費(付添が必要と認められる場合) 1日 3,000円
職業付添人による自宅介護費 実費全額
近親者による自宅介護費 1日 8,000円

通院交通費

交通事故により傷害を負った場合、病院に通院しなければなりません。その通院交通費も当然に損害賠償金に含まれます。

公共交通機関ないし自動車等の実費を原則とし、必要と認められるときはタクシー代が損害となります。通院付添が必要な場合には、付添人の交通費も実費です。タクシー等領収証が出る場合は、必ずもらっておきましょう。

器具装具

交通事故による傷害で、器具や装具が必要となった場合には、必要かつ相当な範囲で認められます。

義歯・義眼・義手・車椅子その他相当期間で交換の必要があるものは、将来の費用も認められます。この場合、中間利息を控除する場合としない場合があります。例:浴室・便所・入り口等。

休業損害

休業損害は、消極損害に含まれます。

消極損害とは、加害行為がなければ被害者が得たであろう経済的利益を失ったことによる損害を意味します。平たく言えば、交通事故の影響で得られなくなったお金のことです。

休業損害に加え、後述する逸失利益も消極損害に含まれますが、逸失利益は後遺障害が残ったときや死亡時に発生する特別な損害であるため、別項目を設けて解説します。

なお、休業損害は、就労形態等によって算定方法等が変化するため、就労形態別に説明をします。

1 給与所得者

<認められる金額>

事故前の収入を基礎として受傷によって休業したことによる現実の収入減

<認められる条件>

受傷を原因として休業したこと

事故前の収入とは、保険実務では事故前3ヶ月の平均給与をもとに算定することが一般的です(3ヶ月の給与額の合計額÷90日×休業日数)。また、季節的に給与額が大きく変動する場合には(たとえば、海の家など)、直近の3ヶ月の平均賃金とせずに、前年の同期の収入を参考にすることがあります。

有給休暇を使用したときも、休業損害と認められます。

また、休業に伴う賞与の減額・不支給、昇給・昇格遅延による損害も休業損害と認められています。

2 主婦

<認められる金額>

賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金(平成16年賃金センサスでは年350万2200円)を基礎として、受傷のため家事を行えなかった期間について認められる

<認められる条件>

受傷を原因として家事を行えなかったこと

家事を行っていても、その対価として現実的に金銭を受け取っている訳ではないため、ともすると主婦には休業損害が認められないのではないかと誤解される方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、事故の影響で家事を行えなくなれば、誰かがそのしわ寄せを受けることになります。場合によっては家政婦を頼むことも考えられます。このように、主婦業も金銭的に評価されうるのです。

その際の算定基準としては、上記賃金センサスの項目における女子労働者の平均値を基準としています。

3 個人事業者

<認められる金額>

事故前年の確定申告所得を基礎として受傷によって就労できなかった期間。

休業中の固定費(家賃や従業員給料)

<認められる条件>

受傷によって就労できなかったこと、休業中の固定費については、事業の維持・存続のために必要やむを得ないものであること

個人事業者の休業損害は、事故前年の確定申告所得を基礎として算定されます。この点、税金対策のため過少申告しているとの主張は、通常認められないと考えておいた方が良いでしょう。納税義務を果たさないでおいて、被害を受けたときには権利主張するという態度に、裁判官が納得しないこともあり、かなり高度な立証を要求されるからです。

確定申告をしていないときでも、相当の収入があったと認められるときには、賃金センサスの平均賃金を基礎として、休業損害を算定することが認められています。

4 会社役員

<認められる金額>

受傷によって就労できなかった期間の労務提供の対価部分

<認められる条件>

受傷によって就労できなかったこと

会社の取締役が受け取る報酬としては、純粋な取締役報酬と従業員としての給与部分に分けることができます。従業員としての給与部分が労務の対価であって、就労不可能になり会社から支給されなくなれば、それが休業損害と認められるのは当然のことです。

しかし、取締役報酬は、役員として実際に稼働していることに対する対価部分と、稼働していなくても得ることができる利益配当部分に分けて考えられます。

休業していても得ることができる利益配当部分については、事故による現実の収入減とはいえないため、休業損害とは認められません。逆に労務提供の対価部分については、休業損害と認められます。

問題は、この労務提供の対価部分の金額ですが、実際のところ明確に算定することは困難です。賃金センサスの平均賃金を参考にしつつ、会社の規模や被害者の役割などを総合的に考慮して、労務提供の対価部分を算出することになるでしょう。

5 失業者

<認められる金額>

受傷によって就労できなかった期間について、事故前の実収入や賃金センサスの平均賃金を減額した金額

<認められる条件>

労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性が認められる者であり、かつ、受傷によって就労できなかったこと

失業中の者には原則として休業損害は発生しません。なぜなら、休業損害とは事故による現実の収入減に対して認められるものですが、失業者には、現実の収入減がないからです。もっとも、就職が内定している場合など、具体的に就労が行われる可能性が高い場合や、就職活動を行っていたなどという事情が認められるときには、休業損害を認めるのが通常です。その場合でも、就労の確実性が低いときには、賃金センサスの平均賃金を基準としても、ある程度減額されてしまう取り扱いとされています。

6 学生、幼児など

<認められる金額>

原則として認められない、収入があれば受傷によって就労できなかった期間の収入

<認められる条件>

収入があり、受傷によって就労できなかったこと

現実に就労していないのですから、休業損害が認められないのが原則となります。ただし、アルバイトを行っている場合など、現実の収入が認められるのであれば、就労できなかった期間について休業損害が認められます。

後遺症逸失利益

逸失利益とは、後遺障害を負ったこと、または死亡したことにより、事故前の労働を行うことができなくなり、収入が減少するために失われる利益を意味します。以下、後遺症逸失利益の解説を行います。

<認められる金額>

後遺障害による逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数)

<認められる条件>

原則として後遺障害等級認定がなされたこと

1 基礎収入

(1)給与所得者

原則として事故前の収入を基礎収入とします。

証明資料としては、事故前の源泉徴収票などが通常用いられます。

もっとも、現実の収入が賃金センサスの平均賃金以下の場合であっても、平均賃金程度の収入が得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入とすることもあります。また、30歳未満の若年労働者においては、全年齢平均の賃金センサスを用いることを原則としています。これは、後述するように学生の逸失利益算定にあたっては、賃金センサスの平均賃金を用いることとの均衡を図るためです。

(2)主婦

賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金(平成16年賃金センサスでは年350万2200円)を基礎収入とします。

なお、有職の主婦の場合には、実収入が上記の平均賃金以上のときは、実収入に従い、それ以下のときは平均賃金に従うこととされています。つまり、パート収入がある兼業主婦であっても、通常そのパート収入部分を基礎収入に加える取り扱いはなされないのです。

(3)個人事業者

原則として事故前年の確定申告額を基礎収入とします。

この点、税金対策のため過少申告しているとの主張は、通常認められないことは、休業損害の箇所で述べたとおりです。

確定申告をしていないときでも、相当の収入があったと認められるときには、賃金センサスの平均賃金を基礎とすることが認められています。

(4)会社役員

報酬のうち、労務提供の対価部分と利益配当の部分を分けて、労務提供の対価部分のみを基礎収入とします。

基本的には休業損害の基礎収入に準じて考えておけば良いでしょう。

(5)失業者

労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があるときは、原則として失業以前の収入を参考として基礎収入が決められます。ただし、失業以前の収入が賃金センサスの平均賃金以下であっても、平均賃金を得られる蓋然性があれば、男女別の平均賃金によることとなります。

(6)学生、生徒、幼児

原則として、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の男女別労働者全年齢平均の賃金を基礎収入とします(平成16年賃金センサスでは男子年542万7000円、女子年350万2200円)。なお、女子の場合は、男女別ではなく、全労働者平均賃金で計算すべきという判例がありますので、その判例に沿って主張すべきです。(平成16年賃金センサスで全労働者年485万4000円)。

(7)高齢者

就労の蓋然性があれば、原則として、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の男女別労働者全年齢平均の賃金を基礎収入とします(平成16年賃金センサスでは男子年542万7000円、女子年350万2200円)。

2 労働能力喪失率

労働能力喪失率は、原則として後遺障害別等級表記載の労働能力喪失率に従って決められます。

<別表1>

第1級100/100 第2級100/100
第3級100/100第4級92/100
第5級79/100第6級67/100
第7級56/100第8級45/100
第9級35/100第10級27/100
第11級20/100第12級14/100
第13条9/100第14条5/100

<別表2>

等級 後遺障害 保険金額 労働能力
喪失率
第1級
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
3,000万円 100/100
第2級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 両眼の視力が0.02以下になったもの
  3. 両上肢を腕関節以上で失ったもの
  4. 両下肢を足関節以上で失ったもの
2,590万円 100/100
第3級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの
2,219万円 100/100
第4級
  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失ったもの
  4. 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
  5. 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1,889万円 92/100
第5級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 1上肢を腕関節以上で失ったもの
  5. 1下肢を足関節以上で失ったもの
  6. 1上肢の用を全廃したもの
  7. 1下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失ったもの
1,574万円 79/100
第6級
  1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  4. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  5. 脊柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  8. 1手の5の手指又はおや指及びひとさし指を含み4の手指を失ったもの
1,296万円 67/100
第7級
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  3. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 1手のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を含み3以上の手指を失ったもの
  7. 1手の5の手指又はおや指及びひとさし指を含み4の手指の用を廃したもの
  8. 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
  9. 1上肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 1下肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 女子の外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失ったもの
1,051万円 56/100
第8級
  1. 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの
  4. 1手のおや指及びひとさし指又はおや指若しくはひとさし指を含み3以上の手指の用を廃したもの
  5. 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  8. 1上肢に仮関節を残すもの
  9. 1下肢に仮関節を残すもの
  10. 1足の足指の全部を失ったもの
  11. 脾臓又は1側の腎臓を失ったもの
819万円 45/100
第9級
  1. 両眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 1眼の視力が0.06以下になったもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  8. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  9. 1耳の聴力を全く失ったもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 1手のおや指を失ったもの、ひとさし指を含み2の手指を失ったもの又はおや指及びひとさし指以外の3の手指を失ったもの
  13. 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの
  14. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
  15. 1足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 生殖器に著しい障害を残すもの
616万円 35/100
第10級
  1. 1眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  3. 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  5. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  6. 1手のひとさし指を失ったもの又はおや指及びひとさし指以上の2の手指を失ったもの
  7. 1手のおや指の用を廃したもの、ひとさし指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指及びひとさし指以外の3の手指の用を廃したもの
  8. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
  10. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
461万円 27/100
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  6. 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  7. 脊柱に奇形を残すもの
  8. 1手のなか指又はくすり指を失ったもの
  9. 1手のひとさし指の用を廃したもの又はおや指及びひとさし指以外の2の手指の用を廃したもの
  10. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器に障害を残すもの
331万円 20/100
第12級
  1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい奇形を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に奇形を残すもの
  9. 1手のなか指又はくすり指の用を廃したもの
  10. 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
  11. 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  12. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  13. 男子の外貌に著しい醜状を残すもの
  14. 女子の外貌に醜状を残すもの
224万円 14/100
第13条
  1. 1眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  3. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  4. 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 1手のこ指を失ったもの
  6. 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
  7. 1手のひとさし指の指骨の一部を失ったもの
  8. 1手のひとさし指の末関節を屈伸することができなくなったもの
  9. 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
  10. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
  11. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
139万円 9/100
第14条
  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 1手のこ指の用を廃したもの
  7. 1手のおや指及びひとさし指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  8. 1手のおや指及びひとさし指以外の手指の末関節を屈伸することができなくなったもの
  9. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
  10. 局部に神経症状を残すもの
  11. 男子の外貌に醜状を残すもの
75万円 5/100

備考

  1. 視力の測定は、万国式試視力表による。屈折異状のあるものについては、矯正視力について測定する。
  2. 手指を失ったものとは、おや指は指関節、その他の手指は第一指関節以上を失ったものをいう。
  3. 手指の用を廃したものとは、手指の末節の半分以上を失い、又は、中手指節関節もしくは第一指関節(おや指にあっては、指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
  4. 足指を失ったものとは、その全部を失ったものをいう。
  5. 足指の用を廃したものとは、第一の足指は末節の半分以上、その他の足指は末関節以上を失ったもの又は中足指節関節もしくは第一指関節(第一の足指にあっては、指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
  6. 各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。
  • ※ 身体障害が2以上あるときは、重い方の身体障害の該当する等級による。しかし、下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰り上げる。
    1. 第13級以上に該当する身体障害が2以上あるときは、重い方の身体障害1級を繰り上げる。ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰り上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときは全記合算額を採用する。
    2. 第8級以上に該当する身体障害が2以上あるときは、重い方の身体障害2級を繰り上げる。
    3. 第5級以上に該当する身体障害が2以上あるときは、重い方の身体障害3級を繰り上げる。
  • ※ 既に身体障害がのあった者がさらに同一部位について障害の程度を加重したときは、加重後の等級に応ずる保険金額から既にあった障害の等級に応ずる保険金額を控除した金額を保険金額とする。

たとえば、14級の後遺障害では5%の労働能力が喪失されたと考えられます。また、7級の後遺障害では56%の労働能力が喪失されたと考えられます。3級以上の後遺障害では100%の労働能力喪失、つまり、労働能力が完全に失われたと考えられているのです。

もっとも、上記基準は、確定的なものではなく、具体的な状況に応じてその労働能力喪失率が上下することがあります。たとえば、ピアノ講師である症状固定時33歳女子が、交通事故で、頸部捻挫、両側下腿打撲、顎関節症、視力低下障害、右腕の痛み・握力低下及び無排卵症の各傷害を負い(等級14級、基準によれば労働能力喪失率5%)、将来に亘りピアノ講師復職が不可能となったものと主張する事案で、頸部捻挫等の影響で症状固定後も症状が残存する事を理由に、就労可能34年間、10%の労働能力喪失率で逸失利益を認めた事例があります(神戸地判平12.11.20)。

3 労働能力喪失期間

労働能力喪失期間は、原則として67歳までの期間とされています。ただし、未だ就労しない未成年者や、高齢者については修正が加えられています。

具体的には、就労可能年数とライプニッツ係数表を参考に、労働能力喪失期間(就労可能年数)におけるライプニッツ係数を把握することになります。18歳未満の場合については、18歳未満の者に適用する表をご参照下さい。なお、その際に当てはめる「年齢」とは、事故時のものではなく、症状固定時での年齢を意味します。

ちなみに、ライプニッツ係数とは、将来の収入を一時金として事前に受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数を意味します。

慰謝料

交通事故の損害賠償には、財産権の損害賠償と財産権以外の損害賠償の2つがあります。このうち、財産権以外の損害、すなわち、精神的・肉体的苦痛による損害の賠償を慰謝料といいます。交通事故による損害賠償=慰謝料ではありません。慰謝料は、精神的・肉体的苦痛による損が賠償です。それ以外に、財産的損害として、治療費、看護費、通院費、休業損害、後遺障害による逸失利益その他、多種多様な損害があります。交通事故損害賠償では、それら項目毎に区別して考えます。慰謝料は、精神的・肉体的苦痛による損害賠償ですから、本来、人毎に異なるはずです。しかし、判例では、交通事故のような同種・大量な事件処理において、被害者毎に公平に、かつ迅速に慰謝料の算定をするために、定額化する努力をしてきました。(いわゆる相場の形成)その結果、交通事故の損害賠償においては、慰謝料は、だいたいの相場といったものが形成されています。

1 入院・通院慰謝料

交通事故による傷害により、入院し、または通院したことによる慰謝料です。だいたいの基準が確立されています。

「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準2007」(赤い本)

財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部


  1. 傷害慰謝料については、原則として入通院期間を基礎として別表1を使用する。
    -通院が長期にわたり、かつ不規則である場合は実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある。
    -被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事等の都合など被害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合には、上記金額を増額することがある。なお、入院待機中の期間及びギブス固定中等安静を要する自宅療養期間は、入院期間とみることがある。
  2. 傷害の部位、程度によっては、別表1の金額を20% ~ 30%程度増額する。
  3. 生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途増額を考慮する。

<別表1>

(単位:万円)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院   53 101 145 184 217 244 286 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

<表の見方>

入院のみの場合は、入院期間に該当する額(例えば入院3ヶ月で完治した場合は145万円となる。

通院のみの場合は、通院期間に該当する額(例えば通院3ヶ月で完治した場合は73万円となる。

院後に通院があった場合は、該当する月数が交差するところの額(例えば入院3ヶ月、通院3ヶ月の場合は188万円となる。)

この表に記載された範囲を越えて治療が必要であった場合は、入・通院期間1月につき、それぞれ15月の基準額から14月の基準額を引いた金額を加算した金額を基準額とする。例えば別表1の16月の入院慰謝料額は340万円+(340万円 - 334万円)=346万円となる。

2 後遺障害慰謝料

第1級 2,800万円 第2級 2,370万円
第3級 1,990万円 第4級 1,670万円
第5級 1,400万円 第6級 1,180万円
第7級 1,000万円 第8級 830万円
第9級 690万円 第10級 550万円
第11級 420万円 第12級 290万円
第13級 180万円 第14級 110万円

交通事故による傷害により、入院または通院だけでは完治せず、後遺障害が残ってしまった場合には、上記慰謝料の他に、後遺障害が残ってしまい、一生苦しむことから、そのことによる慰謝料(後遺障害慰謝料)が別途認められます。後遺障害等級により異なり、右のとおりです。

加害者に故意もしくは重過失または著しく不誠実な態度があるときは、慰謝料額が増額される場合があります。

3 近親者による固有の慰謝料

重度の後遺障害の場合には、近親者にも固有の慰謝料が数百万円認められる場合があります。

自宅・自動車等改造費

交通事故の被害に遭い、後遺症が残った場合に、自宅や自動車などを改造する必要が生じる場合がありますが、その場合には、必要かつ相当額は認められます。

将来雑費

将来雑費とは、植物状態や重度後遺障害により、症状固定後も雑費が発生する場合の費用です。

将来雑費は、以下の計算式によって算出されます。

(年額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)

<認められる条件>

将来介護について雑費が発生すること

原則として後遺障害等級の別表第1、1級1号または2級1号の要介護の場合に認められます。

このように、将来介護が必要となる被害者については、紙おむつ代、タオルや手袋などの将来雑費を請求できる可能性があります。そのため、介護のために必要となる雑費の領収書は、訴訟等で立証できるように、きちんと保存しておくことが必要です。

将来介護費

将来介護費というのは、重度後遺障害により、症状固定後も介護が必要となる場合の介護費のことです。

将来介護費は、以下の計算式によって算出されます。

(年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)

認められる条件としては、医師の指示または症状の程度により介護の必要があることです。

1 基準額

職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日8000円を目安としていますが、具体的な看護状況次第では、複数人の介護者が必要であるとしたケースも見られます。そのため、介護の実態を詳細に立証するための資料収集が重要となります。

脊髄損傷による完全麻痺の場合、褥瘡、肺炎などの合併症が生じやすく、2~3時間ごとの体位変換、排痰介助が必要となります。

2 生存可能期間

平均余命数とライプニッツ係数表をご参照のうえ、該当するライプニッツ係数を把握しましょう。

弁護士費用

交通事故損害賠償においては、訴訟の場合には、弁護士費用相当額として、判決での認容額の10%が認められます。

但し、これは損害賠償として認められる金額であり、実際の弁護士費用は弁護士との契約で定まるものであり判決はその一部を加害者の負担とする意味を持つものでしかありません。

また、自賠責保険に被害者請求をしていない時は、判決認容額から、被害者請求をすれば当然支払われる損害賠償額を差し引いた金額の10%となる場合もあります。