最近、書籍、ビジネス雑誌の記事で「一流、二流の違いとは?」といった内容のものをよく目にします。

「二流」というと言葉が強すぎると感じますが、どの世界、どの職業も、大多数の人は最低限のことはできるものの、抜きんでることはほんの一握りの人。

他と一線を画し、大きな成果を上げることのできるビジネスパーソンが「一流」ということになります。

もちろん、弁護士にも「一流」と「二流」があります。
どのような観点から「一流」と「二流」を分けるのか、については、多数の考え方があります。

今回は、その中から、一つの観点をご紹介したいと思います。

私たち弁護士の仕事は、依頼者から話を聞くことからはじまります。
依頼者は、現在自分にどのような問題が生じ、自分がどのような状況に置かれているのか、事実関係を説明します。

そして、弁護士に対し「損害賠償が取れるでしょうか」「裁判で勝てるでしょうか」といった法律的な見解を求めます。

普通の弁護士は、その聞き取った事実を、法律の条文や判例に当てはめ、その依頼者の要望が叶うかどうか検討し
「大丈夫です、裁判に勝てると思います」
「ちょっと難しいです」
などと回答します。

もちろんそれは間違った対応ではありません。

しかし、ここにとどまっていたら、「二流」と判断します。

私が一流だと感じる弁護士は、考え方が根本から異なります。

相談を受けた時に、その依頼者が実際に言葉にしたことにとらわれず、詳細な質問を行い、問題の本質がどこにあるのかを主体的にとらえ、問題解決の方法を考えます。

「裁判に勝てそうですか?」と聞かれた時も、文字通り受け取って「勝つ、負ける」を答えるのではなく、それ以前に、そもそも裁判をするのが得策かどうか、望む結果を得るために、もっと良い手段があるのではないかと考えます。

弁護士の強みである法律を持ち出すのは、法律を使うことによって問題が解決できると判断した場合です。
目的は問題解決であり、法律はあくまで問題解決の手段と考えているのです。

つまり、「二流の弁護士」は、事実を機械的に法律にあてはめ、「一流の弁護士」は、依頼者の問題解決のための手段として法律を使う、ということです。

他の例を挙げます。

たとえば、マンションの営業担当者は、売ろうとしている物件が「駅から近い」「眺望が良い」「地域の平均よりも安い」「資産価値が高い」といったことをアピールすることが多いと思います。

メリットを強調し、デメリットを隠してマンションを売ろうとします。

しかし、物件を探している人は、マンションそのものに興味があるというより、今住んでいる住居に何らかの不満がある、あるいは結婚や出産等で生活が大きく変わるなどの事情があるはずです。

マンションを買うことは、なんらかの人生設計に基づくものであり、立地や間取りなどの条件は、その理想の生活の実現のための手段にすぎません。

販売業績が高く、ほかから抜きんでる一流の営業担当者は、自分が専門家として考える商品の価値をアピールするより、顧客が今、抱えている問題を解決し、あるいは顧客の生活を幸せにするためにマンションを購入するよう働きかけるでしょう。

つまり、ここでも、「二流」は、商品を売り、「一流」は、幸せを売る、ということが言えるでしょう。

プロとして、専門分野に通じていることは当然。
それがなければ二流にもなれません。

そのうえで、専門知識自体を売りにするか、専門知識を手段として相手の幸せに貢献できるか。

ビジネスにおいては、ここに二流から一流に飛躍するためのポイントがあるのではないか、と思います。
私自身も、一流の弁護士を目指して精進していこうと考える今日この頃です。

さて、好評の2冊。
雑談が苦手な人のために。

「雑談の戦略」(大和書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/447979543X/

すでに7万7000部!
人を動かすのは、命令より質問です。

「『いい質問』が人を動かす」(文響社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4905073499/

【編集後記】

毎年、法律とは別に1年間勉強することを決めています。
今年のテーマは日本史。

年初は、「よーし。日本史の本をたくさん読んで日本史博士になろう」と思っているのですが、いざ1年が終わってみると、あまりできていません。

どうしても、「少しでも時間があれば」ということで、週末でも仕事の方を優先してしまうのですね。
でも、高校日本史の教科書も読めたし、以前よりは、少し理解が進みました。

さて、来年は、何を勉強しようかな。
(*・`д・)ガンバルッス!!

今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!

では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。