交渉において、起こりがちな失敗の一つが「しゃべりすぎ」。
自分に不利になるようなこと、しかもその場で言う必要のないことを口にしてしまい、交渉が決定的に悪い方向に進んでしまうというケースです。
具体的な例を挙げてみましょう。
商談の場で、初めは双方緊張気味であったものの、順調に条件に関する話し合いを重ね、妥結は間近。
次第に和やかな雰囲気になったとします。
そのとき営業担当者が、「いやー、実はまだ契約が全然取れていなくて、御社とのお話をどうしても今月中にまとめたかったんですよ」とポロリと話してしまうとどうなるでしょうか。
いくら話が進んでいるとはいえ、まだ契約前です。
交渉相手は、あなたの会社に「契約を破談にする」という選択肢がないことを知り、「もっと有利な条件を引き出せるのでは」と思うはずです。
「今月中」というこちらの考える期限ギリギリまで交渉を引き伸ばされ、「今月中にどうしても契約が欲しいんでしょ?」と、譲歩を引き出される可能性もあります。
もう一つ例を挙げます。
メーカーが営業先の会社から、自社製品の品質について質問されました。
メーカーの担当者は「大丈夫です。先月に発生した欠陥への対応も、この製品ではしっかり行っています」と自信ありげに答えました。
メーカーの担当者は、自社製品が改良を重ねた優れた品質を持っていることをアピールしたかったはずです。
しかし、聞かれてもいない過去の欠陥のことを言えば、相手からは「本当に大丈夫なのか?」とマイナスに受け取られてしまうでしょう。
このような「しゃべりすぎ」はなぜ起こってしまうのでしょうか。
大きな理由が、交渉に臨む人の頭の中で、その交渉が持っている意味、交渉の相手との関係性などの全体像、ストーリーが整理されていないからです。
そこで有効なのが、交渉の中で、個々のセリフがどのような意味を持つのかを知るために、発言を以下の3つに分けることです。
1.言って良いこと
2.言ってはいけないこと
3.言わないほうが良いが、状況次第で言わざるを得ないこと
とくに、3は心当たりのある人が多いでしょう。
聞かれなければ言わなくてもいい、しかし聞かれたらしっかり答えなければ嘘になるセリフです。
上のメーカーの例でいうと、欠陥の事実がそれ。
交渉前に、この部分はとくに細かく詰めておくのがポイントです。
なお、組織内で往々にして起こるのは、社内の立場、職掌により、この全体像、ストーリーの理解の度合いが異なること。
情報が少なく、理解度の低い若手社員が、良かれと思って、言ってはいけないことを言ってしまうケースはよくあります。
このようなケースでは、その部下を叱責してしまいがちです。
しかし、若手が仕事の全体がみえていないのは致し方ないことであり、上司の責任が大きいといえるでしょう。
チームで交渉に臨む時は、リーダーとなる人が、その交渉の全体像、ストーリーを、参加するもの全員に確実に共有させる必要がありますね。
【編集後記】
先週はテレビに出る週でした。
木曜日は、テレビ朝日の「モーニングバード」に羽鳥さんと一緒に生出演。
日曜日は、フジテレビの「報道2001」に収録での出演です。
私は基本的にバラエティ番組は断っていますが、たまに変わった企画が持ち込まれます。
「上半身裸になって出演してください」
「給与明細を見せてください」
などです。
それは、さすがに出ないでしょっ!?
(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブル
法律相談は、こちらから。
http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/
今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!
では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。